過払い請求 特集

Money Japan

基本契約の切替と債務の承継について

プロミス・クラヴィス切替事件です。
(クラヴィス=旧タンポート←クオークローン←ぷらっと←リッチ)

この事件は、プロミスが平成19年6月、完全子会社のクラヴィスの精算、顧客は自社へ付け替えをするために業務提携契約を締結。プロミスがクラヴィスの顧客に借入分の金額を貸付、クラヴィスに完済させる形で貸金業務を引き継ぎました。

問題となっているのは、クラヴィスとの契約とプロミスとの契約は別のものですが、クラヴィス時代に発生した過払い金をプロミスに請求できるのか、また一連取引として計算して良いのかということです。

契約切替の時、プロミスは顧客と残高確認所見振込依頼書を作成しています。

その書面内容の一部とは、

  • 顧客とクラヴィスとの債権債務関連の紛争窓口はプロミスとする

クラヴィスの顧客はプロミスに対してクラヴィス時代から発生していた過払い金の返還請求を行ったが、プロミスは拒否。

プロミスは後に、紛争窓口となると書いているだけで過払い金の債務まで引き受けるとまでは言っていないとの主張でした。

今回の判決で、「債権を承継するにとどまらず,債務についても全て引き受ける旨を合意したと解するのが相当」として、プロミスに過払い金の返還義務があるとしました。

最高裁判例 詳細
事件番号 平成23(受)516
事件名 不当利得返還請求事件
裁判年月日 平成23年09月30日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄差戻し
判例集 巻・号・頁 集民 第237号655頁
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成22(ネ)6177
原審裁判年月日 平成22年12月08日
判示事項 貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが,金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結するに当たり,YがXとの関係において,AのXに対する債権を承継するにとどまらず,AのXに対する債務についても全て引き受ける旨を合意したものと解された事例
裁判要旨 貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが,金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結し,この際,Xが,Aとの継続的な金銭消費貸借取引における約定利息を前提とする残債務相当額をYから借り入れ,これをAに弁済してAとの取引を終了させた場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,XとYとは,上記基本契約の締結に当たり,Yが,Xとの関係において,Aとの取引に係る債権を承継するにとどまらず,債務についても全て引き受ける旨を合意したと解するのが相当である。
(1)Yは,国内の消費者金融子会社の再編を目的として,Aの貸金業を廃止し,これをYに移行,集約するために,Aとの間で業務提携契約を締結し,同契約において,Aが顧客に対して負担する過払金債務等一切の債務をYが併存的に引き受けることや,Aと顧客との間の債権債務に関する紛争について,Yが,単にその申出窓口になるにとどまらず,その処理についても引き受けることとし,その旨を周知することを,それぞれ定めた。
(2)Yは,上記業務提携契約を前提として,Xに対し,上記基本契約を締結するのはYのグループ会社再編に伴うものであることや,Aとの取引に係る紛争等の窓口が今後Yになることなどが記載された書面を示して,Yとの間で上記基本契約を締結することを勧誘した。
(3)Xは,Yの上記勧誘に応じ,上記書面に署名してYに差し入れた。
参照法条 民法91条
民法703条
民法第3編第1章第4節(債務引受)